前回の記事では、法人設立後にまず整えておくべき届出や帳簿管理についてお伝えしました。今回は、そこから半年〜1年が経ち、いよいよ「はじめての決算」を迎える経営者様に向けたお話です。
決算は、1年間の経営成績を数字で確認する大切な機会であると同時に、法人税・消費税など各種税金の申告・納税が発生するタイミングでもあります。初めての決算でつまずきやすいポイントを、あらかじめ知っておきましょう。
1. 決算日の2〜3か月前から準備を始める
決算は「決算日が来てから慌てて動く」ものではありません。申告期限は原則として決算日の翌日から2か月以内と短く、
- 期中の帳簿に漏れや誤りがないか
- 未払金・未収金など期末特有の処理が必要な取引がないか
- 在庫や固定資産の状況を確認できているか
といった確認には、想像以上に時間がかかります。決算日の2〜3か月前から準備に着手することで、期限直前のバタバタや、税額を抑えるための最終的な対策(決算対策)を検討する余裕も生まれます。
2. 「利益が出た=良いこと」だけでは終わらない
初めて黒字になったときは嬉しいものですが、利益が出るとその分、法人税・住民税・事業税の負担も大きくなります。
- 想定より納税額が大きく、資金繰りを圧迫してしまう
- 納税用の資金を別途確保できていなかった
というケースは、初めての決算でよくある失敗です。試算表をもとに、決算の1〜2か月前には概算の納税額を把握し、納税資金を計画的に確保しておくことが重要です。
3. 消費税の判定を忘れずに
設立2期目以降、資本金や課税売上高の状況によっては、消費税の課税事業者になるかどうかの判定が必要になります。
「うちはまだ小さいから関係ない」と思い込んでいると、気づかないうちに課税事業者としての義務が発生していた、というケースもあります。インボイス制度への対応状況とあわせて、早めに確認しておきましょう。
4. 期末の在庫・固定資産の扱いを整理する
在庫を抱える事業や、パソコン・什器などの固定資産を購入した場合、期末時点での棚卸しや減価償却の計算が必要になります。
- 在庫の実地棚卸しを行っていない
- 10万円以上の備品を全額経費にしてしまっている
といった処理の誤りは、税務調査で指摘されやすいポイントでもあります。特に固定資産は、少額減価償却資産の特例など中小企業向けの制度を使えるケースもあるため、事前の確認がおすすめです。
5. 決算書は「税金計算のため」だけのものではない
決算書は、税務署に提出するためだけの書類ではありません。
- 金融機関からの融資審査
- 取引先からの与信確認
- 経営者自身が、次の1年の経営判断をするための材料
としても使われます。数字を正確に、かつ分かりやすくまとめておくことは、その後の事業展開にも直結します。
まとめ
はじめての決算を迎えるにあたって、押さえておきたいポイントは以下の通りです。
- 決算日の2〜3か月前から準備を始める
- 納税資金を計画的に確保する
- 消費税の課税事業者判定を確認する
- 在庫・固定資産の処理を正しく行う
- 決算書を今後の経営判断にも活用する
「何から手をつければよいか分からない」という場合は、決算の2〜3か月前を目安に、一度ご相談いただくことをおすすめします。数字の整理から申告書の作成まで、はじめての決算を安心して迎えられるようサポートいたします。

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